おしらさま

岩手の祖父母のところへ行った。
昼前には新花巻の空港に着いたが、昼間は祖父母に用事があるということだったので、遠野を観光して時間を潰すことに。
すっかり鳥取の境港に取って代わられてしまったのだが、昔は妖怪ったら遠野であったのだ。河童だって座敷童子だっていたんだぜ。
遠野駅前周辺でブラブラ時間を潰していたら、市立博物館なるものがあり、遠野の民話が聞けるみたいなので入ってみた。
そしたらその中で蚕の起源を伝える昔話“おしらさま”が日本昔話風に放映されていたのだが、これが思わず正気を疑うような話で驚愕してしまった。後で調べてみたが、細部は違えど大筋でおんなじような話が各地に伝わっているみたい。*1遠野市立博物館で聞いた話を思い出せる限り正確に書きますと、

    1. ある雪深い山の奥深くに、父娘と白い子馬が暮らしていました
    2. 娘と子馬はたいそう仲良しで、いつも一緒に遊んでいました
    3. 年を経て、いつしか娘は美しい女性になり、馬も美しく成長しました
    4. 娘と馬の仲は深まり、一時も離れず、娘は厩で寝るようになりました
    5. ある夜、娘と馬は夫婦になりました【獣姦】
    6. その光景を、父親は覗き見てしまっていました【覗き】
    7. 父親は怒り狂い、馬を殺してしまいました【動物虐待】
    8. 娘は嘆き悲しみ、星になってしまいました【後追い自殺
    9. 父親は一人、失意のどん底でありました
    10. そんな父親を星になった馬と娘は心配し、枕元に立ちました
    11. 「お父さんが生きてゆくのに困らないものを臼の中に残しておきますよ」
    12. 朝起きて父親が臼の中を覗いてみると、そこにはなんと蚕がいたのでした
    13. これが養蚕の始まりだということです。どんとはらい

ってちょっと待たんかい!?って感じじゃねえすか?父・娘・馬の三角関係でその果てに殺馬・後追い自殺なんて、最近の昼ドラなんか目じゃない泥沼っぷり。悲惨すぎる。その上でようやく出てきた蚕は父親の年金扱いですよ。
この話ができたきっかけは、蚕の幼虫が白馬の顔に似ているからだ。という説があるみたいなんだけど…いやいやいや、それだけの理由だったらもっとおとなしいストーリー作るだろ?って思うんだけど、なんか深い意味があるのかね?