最近読んだ本(1)

気がついたら半月放置していた。恐ろしい。
3月からこのGWまで、ヒマでヒマでしょうがなかったので結構色々小説を読んだ。軽く御紹介。

  • 辻村 深月

「冷たい校舎の時は止まる」「ぼくのメジャースプーン」「凍りのくじら」を読みました。書評を見ると「感動できるミステリー」みたいな書かれ方をしていることが多いです。登場人物の背景と心象風景を巧みに描写するので、それが感動を盛り上げる鍵となってる感じですね。ミステリーっていうのはイメージじゃなくて、ちょっとした謎がどの作品にも隠し味程度に含まれているという感じでしょうか。
読み応えがある良い小説家なのですが、個人的には全作品は好きになれなかったです。というのも、この人の書く小説には必ずピュアピュアしい登場人物が一人は出てきてその人(達)を核にして物語が進行するのですが、そいつを好きになれないと全く読み続ける意欲が湧いてこないんすわこれがまた。話の引っ張り方が、「このストーリーこれからどうなっちゃんだろう?」ではなくて「この人これからどうなっちゃうんだろう?」に近いから?・・・なのかな。
お奨めは「ぼくのメジャースプーン」(というか他のはダメだった)

  • 舞城 王太郎

煙か土か食い物」「暗闇の中で子供」「熊の場所」「世界は密室でできている」を読みました。“舞城ノワール”と呼ばれる独特の世界観と、世界観と同等に個性的な文章(一人称で、思考をずらずらずらーっと句読点無しに書き連ねる)が超個性的な作家さん。その個性ゆえに、嵌れればジェットコースターのように読めるけど、嵌れなかったら20ページも耐えられない。オレは結構嵌ったよ。
お奨めは「熊の場所」。

  • 西澤 保彦

昔から色々読んでいるのだけど、最近読んだのは「腕貫探偵」。容疑者がサイキッカーだったり、探偵役が七回死ねたりとかなりぶっとんだ世界観を使いながら、ミステリーの中身は精緻な論理によって組み立てられる(ような気分になってしまう)という独特の作風。かつ、語り口は非常にユーモラスだったりするんだな。こういうの書いてる人って他に知らないんだけど、世界中を探したらいるもんなのかな?
お奨めはやっぱり「七回死んだ男」。怖い話が読みたいときは「神のロジック 人間のマジック」。