警鐘

免許の更新に行ってきた。晴れてゴールディに。単にあんまり車乗ってないだけだけど。講習が始まるまでの待ち時間は、前日新幹線で読むために買った本を読んでいた。
天使と悪魔 (上) (角川文庫) 天使と悪魔 (中) (角川文庫) 天使と悪魔 (下) (角川文庫)
本の感想は下の方に隠して書くことにして、免許講習と本の内容にちょっと関連があったのでそれについてここでは触れることにする。その関連とは『警鐘を鳴らす』ということだ。警鐘の鳴らし方はどこでも同じである。免許センターは死亡事故が増加していると言い、警察は凶悪犯罪が増えていると言い、教育委員会は学級崩壊が始っていると言い、上司は販売実績が落ちていると言って警鐘を鳴らす。つまりは危機感を煽り注意を促すのである。良い警鐘を鳴らすには、危機感を煽りに煽らなければならないのである。今回の免許講習はその辺がダメのダメダメだった。
2004年度と2005年度では死亡事故件数が5件上がっているらしい。とても痛ましいことだと思う。しかし、もらったデータによると総事故件数はむしろ減少しているのである。死亡事故とそうでない事故の差ってなんだ?県内の人口とか車両台数は変化してないの?おいコラこんな貧弱なデータでオレを説得できると思っとんのか、ムキー!!…って我ながらなんだろねこれ?職業病かしら?
つまり、危機感を煽るために事実を誇張したり改竄したりしちゃうんだけど、それがバレると言ってることは正しくても完全に説得力を失っちゃうんだなぁってこと。ここだけは巧くやらないといかんのよね。小説でも警鐘を鳴らす目的でいろんな事件が起きるんですけど、最終的にはガッカリなことになってました。
以下ネタバレ含む感想。
まず冒頭から、セルン・反物質・磁場で捕獲・でヘコー。ちょっともう勘弁してくれよと。エネルギー保存則を舐めるなと。お前は水素が目に見えるのかと。話の展開上、核爆弾だと爆発しちゃったら放射能で汚染されちゃうから反物質なんかを持ち出してくる必要があるのかと理解しときましょう。しかし、ちょっとかじった分野のことでフィクションがへぼいと、拒否反応がすごいということを初めて知りました。冒頭からちょっと興ざめ。
さらに悲しい事に、話の筋はダヴィンチ・コードとほとんど同じ。ヒロインの境遇まで同じなのは、ちょっと手え抜き過ぎなんじゃねえの?これを書いたのが違う小説家だったら、「これダヴィンチ・コードのパクリだろ」って言い出して訴訟問題になってるだろってぐらいに同じ。とは…いうものの…これはもしかしたら売れる小説のマニュアルにのっとって書いてるのかも??ダン・ブラウンが見つけた売れる小説のマニュアルが、『旅情サスペンス+秘密結社』だっていうのは驚きだけど。
しかしそれでも、面白いか面白くないかって言われたら、結構面白かったりするから困りもの。「ダヴィンチ・コードとどっちが面白い?」って聞かれたら、「どっちか先に読んだ方を面白く感じると思う」って答えるけどね。細かく分類すると、旅情っぷりとサスペンスっぷりでは天使と悪魔、ストーリーの整合性と蘊蓄っぷりではダヴィンチコードかなぁと思います。
ストーリーの整合性についてはダヴィンチ・コードもちょっとどうかっていうレベルですが、天使と悪魔は破綻っぷりが比べ物にならないのでで、そういうの我慢ができない人にはお奨めできませんね。オレが感じただけでも、

  • 最初の殺人で焼印使わなきゃ、主人公が関わり様が無い。焼印使う意味も無い。
  • 黒幕とアサシンってどうやって繋がるんだ?
  • アサシンさんあんな変わったコロシ方わざわざやってくれるんだ。サービスいいね。それも契約のうちなのか?
  • アサシンさんとイルミナティは元々はなんの関係もないはずなのに、一瞬で啓蒙されたのね

とか、まあそんな感じ。別にいーーんだけどさあ。オレはダヴィンチ・コードの方が好きだね。
ローマには行きたくなっちゃったけどね。